ガンダム好きさんの、ガンダム好きさんによる、ガンダム好きさんのためのセミナーといってもおかしくない(?)セミナーが行われた。
7/30(土)。その時のメモを記す。
目次
参加動機
これは、横浜のガンダムファクトリーのガンダム。しゃがんだ時の、一番好きな躍動するガンダムRX-78。こんな素敵なプロジェクト、聴かないなんてことはできない!!
横浜にある動くガンダムを作成するプロジェクトのリーダをされた石井さんが登壇されるとのことで、ささっと申し込み。日経のセミナーや、NHKなどでも特集が組まれ放映されてきたけど、今回はまた違った観点からの内容を聞くことができたので、こっそりざっくりメモとして残しておく。
今回のセミナーのもとになった記事、とのことで、ご紹介。
monoist.atmarkit.co.jp
感想
セミナー資料はもし公開されたらリンクを貼ろう。
今回のセミナーでの収穫は2点。
①石井さんのお人柄に惚れたこと。
②でぶさみとかじゃすととかいろんなシンポジウム・カンファレンスで発表されている成功事例が実践された集大成・成果物がガンダムだ!と知れたこと。
①石井さんのお人柄に惚れた について
子供のころの夢を確実に掌中におさめて、成功裏におさめる。
セミナーのかなでは、めぐりあわせとかタイミングとかおっしゃっていたけれど、進学・就職の時点でレールは敷かれているんだよなぁと感じた。
そんなプロジェクトがあるとはだれも知らなかった時代だけれど、チャンスが来たらつかめるスキルと自信と責任を発揮する。もう、これって究極のニュータイプ目指している姿にしか見えなかった。本当に素敵だなとおもった。
同年代の方。まぶしいなぁ。
②成功事例が実践された集大成・成果物がガンダムだ!について
Q&Aのところで司会者と石井さんが会話されていたところに全部集約されていたんだけれど、一つ上げるとしたら、もうこれしかない。
「成果物を作るとき。最初にちゃんとゴールイメージできるものがあるかどうか、です。ぼやっとすると後で考える必要が出てくる。ぼやっとするときは、必ず何か失敗が付きまとう。」
イメージできるものにするために、どんなリスクがあって、どの程度のリスクなら許容できて、を考える。そして、自分がイメージできない部分は知っている人に頼る。
ここに、全部集約できている気がする。
裏にはもっとどろどろしたところが本当はあるのかもしれないけれど、聴いていてワクワクしかしなかったなぁ。そんなプロジェクト、一生に一度参加できたら再考だろうな。
あとは、メモをだらだらと。
セミナーの内容メモ
石井さん自己紹介
・1974年生まれ
・ガンプラブームでガンダムと出会う
・小学生の時に、ガンダム作りたい!と思い始める
・エンジニアになったのはガンダムを作るため
→横から見るんじゃなくて。中に乗りたい!
→日立建機に入社、大型ロボット開発に必要なスキル取得
→2018年プロジェクトを知り、こんな機会は二度とない、参加する!で、参加。
プロジェクトの概要、成功
目的
・18mのガンダムらしい動きの再現
動きデモ内容
・動作、静止
キーワード
・技術チャレンジ
・実現可能性
・安全性
・デザイン:ガンダムの立像と稼働の成立
スケジュール
2018~開発開始 ゴール明確化、定例など
2019 詳細設計・制作 部品製作 パートごとに仮組
2020 全体組み立て(Gキャリア、ガンダム)各種テスト、お披露目
プロジェクトの技術マネージメントについて
・技術マネージメントとして実践した4つのこと
1 ゴールを明確にすること
定量的な形で目標を示し、意識の共有を図った
→ 最初は「18mのガンダムを動かす」しかなかった。
なにをどのくらいどうやってうごかすか、に落とし込んだ。
関節の可動領域、速度、などある程度ざっくり出して、提示した。
重さも30tくらいには納められる程度、と最初のうちに出した。
2 ゴールのために必要な開発条目を洗い出すこと
安全に関するリスクアセスメントなど、抜けていたものをここで補った
抜け漏れはどうやって補完したの?
→動くガンダムとしては初めてだが、大きな動く機械としてはそんなに変わらない。
前職で学んだものから想像可能で、ある程度考えた。各社さんでも補ってもらった。
最初は2週間に1回の定例で気になったところを出してもらう。
最初の1年は計画を作っていく段階だった
課題を出して、できるできないを判断してもらう。できないのであれば、全体でどうしたらいいかを考え、修正して可能にすることをした
3 パートナー各社にそれぞれのゴールを割り当てること
うちの領分じゃない、そこは他社さんの責任範囲ですよね、といった話はなかった。
なんでそうならなかったのか?
→ガンダムを動かす、ということがでかい。各社さん、積極的に参加してくれた。
みんな、自分ごとだった。当事者意識を持ってもらうように声掛けは意識してやった。
→ガンダムを動かすという共通ゴールが大きい。各社しっかり持っていた。
ある意味特殊なプロジェクトだった。
みんなが、動かしたいという思いを持って参画しているから、ということも大きい。
4 それをいつまでに達成するかというスケジュール管理
あたらしことにチャレンジしながらも各自、各社さんが納期を守ることができた要因は?
→各社さんにスケジュールを出してもらって、しっかり守ってくれた。
でも、それでもうまくいかないことはあって、そこは全体で話し合って解決していった。問題を抱え込まず、隠さずオープンにできていたので解決できていった。
そもそもがチャレンジングなプロジェクトなので、言いやすかったのかもしれない。
フランクに意見を出しやすい雰囲気つくり(明るい雰囲気)を心掛けた。
質問タイム
「技術者の意思疎通ができるようになるまで」
様々な分野の企業が集まっている。メカ、ソフト、建築、デザイン・・・
同じ日本語なの?と感じるほど、意思疎通の難しさを感じたというが、どのように工夫をしたのか?
→ 自分(石井さん)は機械系。専門分野以外はわからない。
ネットで検索しながら議論したが、わからないことはわからない。
わからないとしっかり言って、自分の言葉でこう思うのですがあってますか?と聞いた。わからないことがたのしかった。知っていくことが楽しかった。
A社さんB社さんで認識違いがありそうと感じたところには入り込んで、そこを媒介していった。
各分野の文化も学べて楽しかった。意思疎通の難しさは残ったままだが、癖がわかるのでそこを前提として議論していった。
今回は、特に風の影響という課題が各分野によって違うことを知ることができたのがよかった。
「問題の想像について」
初めて作る機械システムだが、リスクをどうやって抽出したのか?
→リスクアセスメントが主なもの。動くものなので、安全性。
各社さんに、いろんな側面で意見を求めた。
リスクの出し方としてリストにして、各社さんに出してもらった。
「手離れの良さ」=インタフェースの切り方
インタフェースの切り方の工夫は?
→メカ単位でガンダムを動かすのはガンダムの中にいれてしまう。
Gキャリアとガンダム本体の課題は切り分けた。
Gキャリア、Gドック、ハンド、ガンダム本体の4つに大体分けられた。
あとは信号通信の部分などで解決できる。
4つが独立して動くようにしていて、それぞれで指示して動かす、並列して動くというシステムになっている。ここが工夫である。
「他拠点開発」
他拠点のコミュニケーションの取り方の工夫は?
→ 他拠点になった理由としては、3か所で並行して作り、工程を短くするのが目的。
単体でのテストはその場所で終わらせてもらった。
他拠点でのコミュニケーションはそんなに必要がなくて、単体で動いていればよい。
サブシステムで動くものがこの期日までに終わっていればいいですよ、としていた。
「2足歩行、今の地技術でここまでならできる」
最初から、制限(Gキャリアを使っての歩行しかできない)を設けて進めた理由は?
→冨野監督などの意見で、「Gキャリアがあるのはどうなの?」というのはあったが、なしでは歩けない、と最初から進言した。
できそうだと想像できるものであれば、後から出てくる課題も解決できるが、安全面や技術力を前提して考えると、できるところが想像できないものはじ排除しないと開発肯定的に担保できないと考えた。
「要素技術を有する企業の募集について」
参画企業を集めるのは大変だったのでは?本当にスキルを持っている企業だったのか?
→チャレンジングな内容だったので、プロジェクト側が足を運んで何とか参加していただいた、という感じ。声掛けする段階で、技術を持っているかどうかは見えていた。
「プロジェクト選任を選んだことについて」
退職してここを選んだ理由は?
→2017年夏、GGC会議があった。参画数r企業は決まっていたが、プロマネがいなかった。責任と意思決定を明確にしないと各社動けない。方針を明確にする人がいないと回らない。回すことができるとイメージができたので、会社を辞めて専任になった。
今までの経験から、できそうだなと思えたことと、今を逃すともうないな、ということ、ガンダムに恩返ししたい、と思った。
「成功の共有について」
プロジェクトチームでのゴール達成共有は何かおこなったのか?
→個人として達成感はある。そう感じたのは、思い返すと3回。
初めて火を入れて動いたとき。2019年12月。
テストが終わったとき。2020年9月。
オープンの時。2020年12月。
コロナが落ち着いたら、喜びの共有をしたい。どんちゃん騒ぎしたい。
オンライン飲み会は結局は家では一人・・・・
「テクニカルリーダとしてのやりがい」
やりがいはどこだったと考えるか?
→自分の思うガンダムを形にできる。今のガンダムを作ったのは自分だ、といえること。
「要求のコントロールについて」
追加・変更要求などがあったと思うが、どうコントロールしたのか?
→ハードは途中での変更は無理だと話をしていた。
無理なものはもう無理、とニコニコしながらできません、と伝えていた。
できない理由も納得してもらえるように説明した。
チームのモチベーションを維持する、高めるためにおこなったことは?
→途中途中で動くガンダムを見せる。見学会をする。そういう試みをした。
ゴールの意識を当事者意識として持ってもらっている。ガンダムを動かすには皆さんの力が必要なんですよ、無理難題はすべてガンダムを動かすためなんです、と伝えていた。
「GGCリーダとのコミュニケーション」
3名のリーダの関係を良好にする工夫などはあったか?
→ほかの二人とも、すばらしい面白い人。喧嘩もなく、協力しながらできた。
ただ、決める人は一人だ、と思っているので、自分のところは自分が決めると明確にしていた。責任と領域を明確にした。
決めたら責任を持つ。責任をとれる人が決めるべき。
(フリーランスになっていたから、責任を本当にとれるのかといわれると取り様がない(金銭的に)んですが、言ったもん勝ちでw、決めてましたw)
夢の実現へのプロセスについて
→子供のころからガンダムが好きでエンジニアになった。
子供たちに、そういうものがあると面白いなと思ってもらえるものが一つでもあるといいなと思った。
大人が真剣に無駄と思えることも真剣にやるとできるんだよ、面白いものが作れるんだよというものをわかってほしかった。
スケジュール通りにできた大きなポイントは?
→最初にちゃんとイメージできるものがあるかどうか、です。
ぼやっとすると後で考える必要が出てくるので、すごく大事と思ってます。
分担の仕方が難しいところがたくさんあったと思いますが、結合する順番とかはどういう風にきめたのでしょうか?
→動くガンダムの腰をどうしたらいいかというところが難しかった。
上半身と下半身で分けて、足を動かすときには腰を固定しないと無理だということが分かった。反力が取れる巨大な壁が解決するものだった。
「想定外」の問題はあったでしょうか。
プロジェクトの中から出てきた「想定外」の問題はあったでしょうか。それに対してチームの皆さんはどのように対処できたのでしょうか(コロナのような外部の天災(?)以外で)。
→ありました!
デッキと台車がぶつかるということ。結構どうしようと悩んだ。建物で修正を入れた。
建築申請も出した後だったのだが、何とかしてくれたのは助かった。
最後の最後まで消えないエラーがあって、1週間に1回しか出ないという厄介なエラーがあった。11月末だった。12月に内覧会があって、ひやひやした。
(とりあえず、お披露目するところは動きますよ!というやり取りがあったりしたw)
安川電機さんが10名くらい現場に入ってデータを取って対処した。
通信系のエラーだったので、どこなのかわからなかったので、かなり細かく見た。配線を工夫して、解決した。
以上、とりとめもなく。